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スーパードルフィーをめぐる日記と雑記
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先週末はあちこちお出かけをしたので、何日かに分けて書きます。

土曜日は上野。「若冲と江戸絵画展」をぜひ観ておきたかったので。
量・質ともにすばらしい展観で、一部の作品でしたが光の効果を工夫した展示があったのもよかったです。本来の、つまり日本家屋の室内に飾られた状態を再現した照明で見ると、同じ絵でもまるで違って見えるんですね。非常におもしろかった。
予想どおりのすごい人出でしたが、若冲をまとめて展示してある部屋を過ぎるとなぜか急に(笑)、いくらかゆったり観られる感じになったので、大好物の抱一・其一をじっくり観られました。ラッキー♪

しかし、春に藤田嗣治を観たときも思ったけれど、みんななんてゆーかナマエに弱いよねえ…。
藤田のときは彼の戦争画を観て思ったんですが、戦争中にあれを描かせた人たちも、戦後になってあれを描いた藤田を非難した人たちも、「あの絵がどんな絵か」なんてことはどうでもよかったんでしょうね。
だって、あの絵で戦意高揚なんてしませんよ、普通の感覚なら。逆に、もしもあれを反戦画といって見せられたら、大部分の人はそうですか、って疑問なく言うと思います。それくらいのもんでした。絵の前で足が動かなくなるほどの痛ましさに満ちた作品でした(もっとも、そう思う私の感性じたいに既に、時代のバイアスがかかっているのかもしれないし、そういう懐疑精神は忘れたくないですけれどね)。

いずれにしても、ご存知のとおり藤田嗣治は戦争中に描いた絵について糾弾され、日本を飛び出しフランスに帰化してしまったわけですが、そりゃあイヤんなっちゃうよね。みんな自分の絵じゃなくてサインしか見てなかったわけだから。

そんな日本のみなさんとは好対照を成しているのが今回の「若冲と江戸絵画展」の展示品を収集したプライスさん。半世紀前というから戦後まもなくのころ、日本ではまったく忘れ去られていた若冲に魅せられ、その他にも名前にこだわらず自分がいいと思った絵を集めたのだそうで…。

藤田を追い出した戦後日本美術界。そして彼らが目もくれなかった傑作の数々を、大切にコレクションしていてくれたひとりのアメリカ人。「真実は時の娘」とはよく言ったものだと思うのでした。

画像は展覧会場で買ったポストカード・伊藤若冲「鳥獣花木図屏風」。折り線が入っていて、こんなふうに飾れる楽しいモノです。
独立行政法人になって以降、博物館・美術館も商魂逞しくいろんなオミヤゲやサービスを考えてくれるようになりました。これは素直に喜びたいところ。

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